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畑や田んぼなどの農地に家を建てる方法はあるの?農地法や農地転用の流れを詳しく解説

土地には用途が定義された地目が設定されており、家を建てる際の地目は「宅地」が原則となります。しかし、希望に合う土地の地目が「田」や「畑」などの農地であった場合、その場所に家を建てる方法はないの?と思う方もいるでしょう。
本記事では、そのままでは建築できない畑や田んぼなどの農地に家を建てる方法や、農地法や農地転用の流れなどを解説しておりますので、新築の戸建てを検討中の方はぜひ参考にしてください。
農地法とは?

農地法とは、国内の食料の安定供給を確保するため、基盤となる農地を保護・保全して、農業を担う方に適切に利用してもらうことを目的としています。そのため、地目が「田」や「畑」などの農地では、そのままでは家を建てることはできません。
農地転用とは?

農地に家を建てたい場合に取れるのが「農地転用」という方法です。農地転用は、田や畑を農地以外の地目に変更する制度です。これは、農業委員会に対して農地転用の許可申請の手続きをおこない、承認された場合に限り適用されることになります。
農地転用は2パターン
●農地法「第4条」
所有者が農地を農地以外にする(自己転用のケース)
●農地法「第5条」
所有者以外が売買などで権利を得て農地を農地以外にする(権利移動を伴うケース)
農地転用の許可基準(立地基準)
●農用地区域内
市町村が定める農業振興地域整備計画の中で、今後10年以上に渡って農業利用を確保すべきと指定された優良農地のことで、農地転用は原則不許可です。
●甲種農地
市街化調整区域内にある農業公共投資から8年以内で、特に良好な営農条件を備えるおおむね10ha以上の大規模農地のことで、農地転用は原則不許可です。
●第1種農地
農業公共投資(区画整理や排水整備等)の対象の土地や、良好な営農条件を備えるおおむね10ha以上の大規模農地のことで、農地転用は原則不許可です。
●第2種農地
将来的に市街地化が見込まれる農地や、農業公共投資の対象外で生産性の低い小規模農地のことで、農地転用は条件付きで許可されます。
●第3種農地
市街地の区域内や市街地化の傾向が著しい区域内にあり、都市的利用が優位と判断される農地のことで、農地転用は原則許可されます。
農地転用の許可基準(一般基準)
立地基準をクリアできていても、一般基準がクリアできていなければ農地転用は許可が下りません。一般基準は以下の通りです。
●事業の確実性
ー申請者に事業遂行に必要な資金と信用があるか
ー他法令による開発の許認可などの見込みがあるか
ー遅滞なく目的の用途に転用される見込みがあるか
●周辺への配慮
ー転用する面積が事業の目的として適正であるか
ー土砂の流出や崩壊などの災害発生のおそれはないか
ー周辺農地の営農条件に支障をきたすおそれはないか
農地に家を建てる流れ

農地に家を建てる場合、「市街化区域内」と「市街化調整区域内」で流れが大きく異なります。市街化区域内の農地転用は届出のみで許可は不要ですが、市街化調整区域内の農地転用は許可が必要でハードルが高いことを覚えておくと良いでしょう。
① 事前調査
市街化区域:農業委員会へ届出(許可不要)
市街化調整区域:農業委員会へ申請(許可必要)
② 届出・申請
事前相談:農業委員会に事前相談(推奨)
申請書類の提出:農業委員会事務局へ提出
事前審査:農業委員会が申請内容を事前審査
現地調査:農業委員会が該当農地を現地調査
農業委員会総会:申請内容について意見決定
県の審議:意見を送付後、県の会議で審議
許可通知:許可または不許可が申請者へ通知
③ 手続き
工事進捗報告:工事の進捗状況を農業委員会に報告
工事完了報告:工事完了報告書を農業委員会に提出
地目変更登記:不動産登記上の地目を宅地に変更
農地に家を建てる費用

農地に家を建てる費用として以下の点が挙げられます。
●諸費用
●工事費用
●公的負担費用
それぞれ順番に解説します。
諸費用
ー農地転用申請は3万円~15万円
ー境界確定測量は30万円~50万円
ー地目登記変更は3万円~6万円
工事費用
ー造成工事費用は50万円~100万円
ー地盤改良工事費用は50万円~200万円
ーインフラ工事費用は10万円~50万円
公的負担費用
ー下水道受益者負担金は300円~500円 / 1㎡
ー土地改良区の決済金は数十円~数百円 / 1㎡
ー水利組合の協力金は数千円〜数万円 / 10a
農地に家を建てる際の注意点

農地に家を建てる際の注意点として以下の点が挙げられます。
●許可=着工ではない
●進捗報告の厳格化
●水をめぐるトラブル
●ローン審査が止まる
●固定資産税の増額
それぞれ順番に解説します。
許可=着工ではない
農地が市街化調整区域内の場合、農地転用と同時に都市計画法に基づく開発許可が必要となり、どちらか一方に不備があると家を建てることはできません。また、農地は地盤が弱いため、造成後に地盤を落ち着かせる期間を設けなくてはなりません。
進捗報告の厳格化
農業委員会では農地転用の不正や放置が発生しないように、工事完了までの進捗報告を厳しくチェックしています。仮に「許可を得たのに着工しない」「計画と違う建物を建てている」があると、許可の取消や原状回復命令が下るリスクがあります。
水をめぐるトラブル
農地の排水は農業用路に流すことが多いですが、これには地元の水利組合や生産組合の同意が必要です。また、排水を許可する条件として、数万円~数十万円の「放流協力金」の支払いや、水路の清掃活動への参加を求められることも考えられます。
ローン審査が止まる
銀行は担保評価が低い農地に対して非常に慎重です。そのため、農地転用許可証が提出されない限り本審査の結果を出しません。つまり、農地転用の許可が出るまで借入できるのか確定していない状態のまま家づくりの計画を進める必要があります。
固定資産税の増額
農地は宅地と比較すると固定資産税がかなり安いです。しかし、農地転用する土地は工事完了後1カ月以内に地目変更登記をおこなわなければいけません。当然、農地ではなく宅地として評価されるため、固定資産税が増額されることになります。
まとめ

本記事では、そのままでは建築できない畑や田んぼなどの農地に家を建てる方法や、農地法や農地転用の流れなどを解説しました。
農地転用は、土地を買う前に農業委員会へヒアリングすることが失敗しないポイントとなります。インターネットの情報や住宅会社の営業マンの「たぶん大丈夫」は信じず、不動産のプロに同行してもらい判断を下すことが確実なリスク回避の方法です。
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